2015年度 一般社団法人根室青年会議所 理事長所信

始めに

  私は青年会議所に入会し、多くの人と出会い、多くの経験をさせて頂きました。その経験の中で感じたのが、この世の中には不遇な境遇の中でも一生懸命に生き ている人がおり、運命に逆らわず、これを素直に受け入れ前向きに生きている人がいるということでした。人の幸せは財産や地位ではなく相手を思いやる心から 生まれてくるものだと思います。この人の幸せから発せられる笑顔は「貰うこと」「奪うこと」「妬むこと」から生まれるのではなく「感謝すること」「与える こと」「助けること」から生まれるものではないでしょうか。又、これら人の幸せはひと一人で得ることは出来ません。家族や会社、仲間そして地域の存在に よって得られるものです。しかし、現代社会では利便性と引き換えに人と人との繋がりが薄れ、結果として心の豊かさを失い利己的な考えを持つ人が多くなって きているように感じます。自らが幸せならば他人が不幸でもいいという人が集まる街に未来はあるのでしょうか。人と人が繋がり、人と地域が繋がるように、他 人を思いやる気持ちを持たなければ街が良くなり、未来にこの街を繋げることは出来ません。我々は、明るい豊かな社会を実現すべく「人づくり」「まちづく り」を目的とし運動を進めております。この運動を進めるには私たちの組織が何を目的しているか市民から正しく認識されること、そして発信する我々が魅力的 な人間として人から信頼される存在でなければなりません。私たちが市民から信頼される存在となるには、まちづくりに対し誠実で実績と行動力を兼ねそろえた 人間でなくてはならないのです。

 青年会議所では様々な諸活動の中で先輩からの指導、仲間の叱咤激励を経て誠実さや行動力を培い実績を 積むことで会員個々の成長を支えてきました。我々は40歳までの経験の浅い未熟者の集団がゆえ、歩みを進める道には数々の困難が待ち構えているはずです。 しかし決して悲観し卑屈になることはありません。歴史ある団体の一員としての誇りを持ちつつも、過信せず修練を重ねて行きましょう。そして我々の信じるこ とを堂々と発信できるJAYCEEへと成長して行きましょう。

百折不撓 ~会員拡大~

 「我々に残された時間はない」このままメンバーの減少が続けば地域社会における認知度は低下し、私たちの運動を反映させるどころか根室青年会議所は地域社会からも忘れ去られ消えてゆく運命をたどるでしょう。

 我々にとって根室青年会議所とは何でしょうか。まずは自分たちが情熱を注ぐこの運動の歴史や効果を再度評価し、現役メンバー先輩に限らず根室青年会議所を尊ぶ気持ちを広く伝播し、私たちに関わる多くの人の支えと共に根室青年会議所を守りたいと思います。

  本年度は目標として35歳以下をターゲットとして会員数25名体制を築くことを目標として定め、担当部署のみならずメンバー全員で取り組みを行い、単年度 で終わることの無い仕組みやルールを構築することで、拡大に対する意識付けを強くし目標人数を達成いたします。百折不撓の精神にて必ず目標を達成しましょ う。

不易流行 ~人づくりこそがまちをつくる礎となる~

  地域に住む人々は誰しも自分の街を想い、愛する心を持っています。しかし、その素晴らしい心を、日々の生活の中で改めて深く考える機会はあまりありませ ん。自らの地域に関心を持たなくなった街では、自らの手で情報の発信や伝達する事を怠り地域への愛情は薄くなっていきます。我々根室青年会議所は、生まれ 育ったこの地域を誰よりも愛し、誇りに思い、その心を広く伝播する事こそが地域における活性化の一助であり、明るい豊かな社会の実現に向けての第一歩とな ります。

 私は、青年会議所が社会における先導的役割としてこの地域の魅力を発信し、多くの地域住民にこの街の素晴らしさ再認識して貰 い、地域を愛する心を育むことが大切であると思います。そのためには、地域の現状を知り、この愛する地域の為に何をするべきかを考えなければいけません。 また、この街をより発展させるには、市民のまちづくりに対する意識向上が必要です。人づくりこそがまちづくりの礎となるため我々は、地域住民と共に成長す る必要があり、地域のリーダーとして率先して運動し、まちづくりのできる人の育成を同時に行っていかなければいけません。

 近年、我々 が住むこの地域においても、少子高齢化や核家族化の進行、地域の連帯意識の希薄化、防犯・防災、環境、教育、福祉など多くの分野で課題が複雑・多様化して います。これらの課題を、個人や行政だけに頼らずに、我々にも出来る事があるのではないかと考えます。我々青年会議所は、この時代の責任を担う世代とし て、そこに住み続ける人々が郷土として愛することのできる地域のかたちを考え、地域住民の一人ひとりがまちづくりの当事者として自覚し、社会的価値の高い まち、住みよい魅力溢れる地域を創造する為に考えていきます。

 誇りある地域の創造として、自然環境や伝統文化のみならず、過去だけで はなく現在のこの地域の魅力を再発見又は創造し、発信していくことも必要です。我々青年会議所に課せられた責任は多岐に渡りますが、我々の愛するこの地域 が誇りある地域として、元気で笑顔の溢れる地域に成るように活動していきます。

百花繚乱 ~子供たちが明るい未来を創りだす~

  現代は急速な技術革新に伴い、人々の生活は大変便利なものとなりました。しかし、子供たちを取り巻く環境も急激に変化しており、電子機器等の発達によっ て、子供たちの交流の場も屋外から屋内での遊びが主流となり、人と人とのコミュニケーション能力が低下しているといわれています。人に対しての思いやりや 感謝の心が希薄になってきており、その結果、日々のニュースからもいじめや若年層の犯罪など、心痛む報道がされています。この様に子供たちの協調性や道徳 心の低下などが指摘されている今、家庭だけではなく地域が一体となり、未来の根室を担う子供たちの育成に取り組んでいかなければなりません。

  子は社会の鏡であり、子供の笑顔は幸せのはかりでもあります。次代を担う子どもたちが、笑顔に満ちあふれ、心身ともに成長できる環境をつくることは私たち 青年の責務です。次代を担う子どもたちが自ら考え、自ら行動できる力と、人を思いやる心、感謝の心、そして何よりも子どもたちの明るい笑顔があふれる事業 を展開していく必要があります。子どもたちの笑顔あふれる社会を築いていくことは、すべての人たちにも笑顔をもたらし、ひいては笑顔あふれるまちへと繋が ります。我々に未来を思う気持ちがなければ、素直な子供たちにはその思いは伝わりません。熱い思いを持ち豊かな心を育む青少年育成運動を実施していきま しょう。

気炎万丈 ~北方領土返還要求運動~

  北方領土問題は1945年、昭和20年の終戦時より発生しており、当時の根室市長安藤石典氏によってGHQのマッカーサー氏への陳情から、この根室の地に おいて返還運動が始まりました。ソ連の崩壊、そして冷戦の終結から、日露間のこの問題に関する交渉は東京宣言をはじめとして着実に進んでおりますが、具体 的に解決に向けての道筋は残念ながらまだ見えてはおりません。

 この北方領土問題は最終的には政府の責任と権限によって解決されるべき 問題ではありますが、この問題解決を促進するためには国民一人ひとりが領土問題を正確に理解し、国民の世論を盛り上げていく過程が必要となります。我々根 室青年会議所は、後継者育成運動及び啓発運動の2本を柱として活動しておりますが、まだまだ国民の問題意識は低く、積極的に返還運動を先導してきた各地青 年会議所においても地域間での意識格差を感じることがあり、戦後70年が経過した今、諦めにも似た空気が出てきている現実があります。このまま画一的に返 還を訴えるだけでは最も返還運動を牽引してきた元島民の高齢化と共にこの問題は徐々に風化していくことは間違いありません。

 この北方領土問題を多くの国民に知ってもらい、興味を持ち、返還の意識を高めていくには、今こそ返還後のビジョン、未来を我々が示すことが必要となります。北方領土返還運動のリーディングLOMとして我々は気炎万丈の姿勢を持って取り組んでまいります。

結びに ~夢を信じよう~

 今、この根室の地において青年会議所があることは決して当たり前のことではありません。高い志を持ちより良い社会を築き上げ、その精神を半世紀以上に渡り脈々と受け継いできた先人たちが次の世代を担う私たちに想いを馳せ守ってきてくれたものです。

  地域に生きる青年世代の我々がまちの未来に明るい豊かな社会を描かなくなってしまったら、そのまちに未来はあるでしょうか。「いま」出来ることをせずに諦 めてしまったら、この地域からは希望さえも失うことになります。我々には想いを現実にする力があり、その力は活力ある地域社会を築くために必要不可欠なも のです。

 私は自身の人生において夢を持って生きています。夢は人を強くし、人生を豊かにします。失敗を恐れず、諦めず、夢を追い求め る姿勢こそが生きていく上でぶれない一本の柱となります。我々根室青年会議所においても将来のビジョンを持ち、仲間と共有することで、それが根室青年会議 所の夢となるのです。志高く集ったメンバーが、ともに切磋琢磨しながら同じ夢を持ち、その夢に向かって足並みを揃えた時、その力は計り知れないものとなり ます。

 私は本年、覚悟をもって本所信を表明し、根室市民に対し問いかけてまいります。問いによって生じた波紋をより大きくするためには会員一人ひとりの力が必要です。

 あなたの勇気ある一言に共感する人がおり、あなたの直向きな行動に感動する人がいます。自分を信じ、仲間を信じてこれから共に邁進してまいりましょう。